vol.15

木の学校づくりネットワーク 第15号(平成22年1月9日)の概要

  • 巻頭コラム:「WASSのネットワーク構想」:花岡崇一(森の贈り物研究会主宰):
    「木の学校づくり」を切り口にした「木と建築で創造する共生社会」を研究するにあたって、最初に考えたのは次の二点でした。一つは、「木の学校づくり」を実現した地域には人々のどんな思いと協力、課題と解決策があったのかを明らかにすること。二つ目は、自ら林業の現状と課題をつかみ、林業や木製品の製造に関わっている人々の思いを受け止め、共に考え・行動する場となることでした。
    そのために、林業者、加工者、行政者、設計者(意匠・構造)をお訪ねし、報告をいただく場として、建築学科の周囲に外部協力者の研究会や専門家の講演会を組織しました。現在「木に関わる事柄」を自前で議論することができるメンバーが揃った定例研究会に成長しました。この参加者が、WASSの理念を共有しながらゆっくりとした歩みで人と人を結びはじめました。ネットワークの核になる部分です。次に、各地の事例研究を徹底して始めました。秋田県能代市のように市をあげて木造校舎建設を進めている地域、栃木県茂木町、長野県川上村のように学校林や町村有林を活用している地域、大分県中津市のように、市の主導で木造建設の研究会を立ち上げ、市民や企業の参加を促しながら建設を進めている地域、既設校舎の改修に「木質化」を意図的に進めている埼玉県ときがわ町のような地域、それぞれの地域の実情に応じた試みが行われ、素材として「木」を使うこと自体の難しさや地域の林産業のあり方、大きくは法律の壁などの課題を克服してきた貴重な経験を集めることができました。これらを横につなぐ事によって、新たに木の学校をつくろうとする地域や人々に大きな手助けができるネットワークです。
    今年WASSが取り組むネットワークづくりは、首長・行政・設計者・林産業者・学校関係者をそれぞれつなぎ、経験の集約とよりよい取り組みを展望する方策をつくり、新たに「木の学校づくり」に挑戦する地域や人々に「確実な成果」を「回す」ことだと思います。そのことを通して、地域と地域、仕事と仕事、人と人がつながった社会を創っていくことがWASSの使命だと考えています。
  • 最近のトピックス:第13回 木の学校づくり研究会 報告:
    2009年12月12日に行われた木の学校づくり研究会では、東京農工大学の服部順昭教授より、「カーボンフットプリント(CFP)と林野庁の「見える化」事業について」というテーマでお話いただきました。その内容について紹介いたします。
    ■カーボンフットプリント(CFP)とは?
    CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量は、産業部門は企業努力で減っていますが、家庭部門や業務部門は増えており、それを削減していくためにカーボンフットプリント(CFP)を使うということになります。2008年3月の京都議定書目標達成計画で「CO2排出量の見える化」という言葉が登場し、同年7月の閣議決定における「低炭素社会づくり行動計画」で「カーボン・フットプリント制度等の見える化」の導入が明記されました。このような活動は化石資源の延命を図り、後世まで繋いでいくという観点からも非常に重要です。
    CFPの算定には、ライフサイクルアセスメント(LCA)をツールとして利用します。LCAは火山活動などの自然領域と人間の活動による人工領域間のマテリアルフォローを定量的に見て、製品やサービスの資源調達から、製造、使用、廃棄に至るまでのライフサイクルにおいて、投入した資源量やエネルギー量、環境に与えた負荷量を求め、その影響を総合的に評価する手法です。何が環境に悪いのかを知り、人為的な部分をコントロールすることで環境影響の小さな社会を実現しよう、ということになります。
    CFP制度はLCAの手法を活用し、商品及びサービスのライフサイクル全体を通して出る温室効果ガス排出量をCO2に換算し、表示する仕組みです。
    表示は右図のCFPマークを商品1つ1つに貼り付け、サプライヤー差などの付加的な表示も行います。例えばA、Bのメーカーで、ある商品の値段が一緒だとすると、CFPの値の高いメーカーの商品は売れません。そうなるとCFPの高いメーカーは下げる努力をせざるを得ません。このような狙いもCFPには含まれており、CO2排出量の少ない商品の選択や普及を図ることで削減効果が非常に大きくなります。
    ■CFPの現状とこれから
    経済産業省、環境省、農林水産省などで検討や指針・基準などの策定が進められ、CFP商品として販売を始めているところも実際にあります。
    木材関連では、林野庁で昨年に「木材利用に係る環境貢献度の「見える化」検討会」が開催され、林野庁版の「木材利用に係る環境貢献度の定量的評価手法について(中間とりまとめ)」が作られ、これから「見える化」を推進して行くことになります。そして、業界標準値や削減率などを示すために必要な目安となるデフォルト値は、使用量の多い製品から、製材、集成材、合板、パーティクルボードを取り上げ、国産材、外材の別で今年度NPO法人才の木で試算が始まっています。特に、土台などの保存処理木材は薬品を使用することもあり、この業界団体はすでに動き始めています。ところが、原材料である丸太が一番遅れており、その後の計算が難しいという状況があります。
    また、CFPを行うときには必ずPCR(商品別算定基準:商品ごとに定めた共通の算定法)が出来ている必要があります。これは政府が作るものではなく、業界が主体とならなければ出来上がりません。木材製品(木質部材)のPCR原案策定計画の申請はNPO法人才の木が代表者となっており、PPR-043で産業環境管理協会から計画を承認されました。対象製品は製材、集成材、合板、パーティクルボード、繊維版、防腐処理木材となっており、これからPCRを作成していくこととなります。


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