木の学校づくりネットワーク 第2号(平成20年11月15日)の概要

  • 巻頭コラム:工藤和美(東洋大学理工学部建築学科教授、建築家/シーラカンスK&H)「木はいいよね!落ち着くし、触れるし、やさしいし。何かストレスが無くなる感じで、子ども達の怪我が減ったのよ。」これは、一年点検で訪れた時、さつき幼稚園の園長先生から頂いたお言葉。コンクリート造の旧園舎で、25年間過ごしてこられた経験と照らし合わせてのこの感想は、今まさに私たちが進めて行こうとしているWASSの活動へのエールのようにも聞こえてきます。もちろん、地球環境への配慮、心理学的効果や科学的根拠もさることながら、使い手の満足があってこそ木が生きてくるし、多くの木を用いることができると感じています。学校建築の設計を手がける時に、他の施設と比べて私がもっとも頭を悩ますのが、掲示物の多さです。日本の学校では、特に幼稚園や小学校においては、「環境整備」という呼び方で部屋を飾る事が多く、掲示可能な壁が必要だと求められています。現在、多くの学校で使用されている工業製品の壁仕上げでは簡単には掲示ができません。ところが、木質仕上げの部屋では、天井でも壁でもちょっとしたピンがあれば簡単に掲示することができます。学校のような大きな建築では、仕上げの量も大変なものです。木に囲まれた空間になることで、掲示の場所を探し、掲示方法を如何しようかと頭をひねるといったストレスから解放されます。しかし、木と付き合うには少しのんびりした心構えも必要です。木は呼吸しているので、湿気を吸ったり乾燥したりと1年を通して伸び縮みします。落ち着くまで少々暴れますし、勝手の悪い時期もあります。その時、あせって処理するのではなく、1年2年と様子を見るだけの余裕も必要です。子どもの成長を見守る親の目をもったユーザー教育も大切なのかもしれません。学校は、子ども達が一日の大半を過ごす空間です。心地よさをもった木の学校づくりを広げることは、未来を担う人を育てる上で、重要な役割を担うことになります。「木はいいよね!」をますます広げましょう。

※参考リンク: 話題の木造施設――「初めての大規模」を語る 対談:松永安光氏/近代建築研究所代表+工藤和美氏/シーラカンスK&H代表

  • WASSシンポジウム報告:平成20年10月25日にWASSの第1回シンポジウムが秋田、三重、群馬、山梨など遠路からの方々を含め300余名の参加者を迎えて開催されました。・・
  • WASS研究室から

※パスワードは「wood」

コメントを残す