パンフレット 「⽊の建築を成功させるための発注者の留意点」 を掲載しました(2016年9月掲載)

プロジェクト 「A-WASSフロー」 のページに、これまでの調査研究から得られた知見等をまとめたパンフレット 「⽊の建築を成功させるための発注者の留意点」 を掲載しました。市町村等における木造公共建築事業の立案から実施に至るプロセスにおいて留意すべき点を網羅的にまとめていますので、是非ご一読下さい。

併せて、平成27年7月31日に開催された 「第31回建築生産シンポジウム」(主催:日本建築学会 建築社会システム委員会)において、東洋大学大学院の宮城君と法政大学大学院の平川君が行った調査研究成果の発表論文を掲載しました。

詳しくは、こちらから。→ プロジェクト 「A-WASSフロー」 のページ

第2回 全国木のまちサミット 2016 in 早川町 が開催されました(2016年9月3~4日)

平成28年9月3日(土)~4日(日)、山梨県早川町で開催された標記サミットに出席しましたので、概要をご報告します。(A-WASS 事務局 今泉)

1.趣旨と背景

今回のサミットは、地方創生とりわけ山村地域の創生を図る上で森林・林業の再生が不可欠であるとの認識に立ちつつ、「木を使う」ことで培われてきた文化や地域連携を鑑み、森林の上流と下流の相互関係の上に産官学等の多様な連携から生まれる技術・経済・文化の発展の可能性について考察し、地域材利用の取組事例等から持続可能な林業振興や森林利用の方策について考えることを主目的に開催されました。

なお、第1回のサミットは、一昨年11月に岩手県住田町で開催され、A-WASSから長澤会長や網野副会長をはじめ、複数の会員等関係者が出席しました。

  • 第1回サミットの概要報告はこちら:

https://a-wass.org/events/全国木のまちサミットが開催されました/

https://a-wass.org/資料リンク/通信/6号/

2.サミットの概要

  • 出席者等  別添1のとおり。総出席者数127人。
  • 開会(主催者挨拶、来賓祝辞等)

サミット実行委員長である早川町の辻一幸町長の開会挨拶の後、「オイスカ国際活動促進国会議員連盟」の会員でもある森屋参議院議員が来賓挨拶を行うとともに同議員連盟の会長である石破茂衆議院議員(前まち・ひと・しごと創生大臣)からのメッセージを代読。

また、林野庁の玉置木材利用課長、山梨県の小島林務長、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部の吉田参事官、甲府市の樋口市長がそれぞれ来賓挨拶を行ったほか、地元選出の国会議員等からの祝電披露。

3.基調発表、海外からの報告、課題別セッション

別添2のプログラム及び別添3~12の発表資料のとおり。事例発表やその後の質疑応答等で、特筆すべきものは、以下のとおり。

  • 佐野建築研究所の長井代表取締役が、早川町新庁舎の設計施工について発表。早川町産材をふんだんに使用しているが、①山梨県内で加工等ができず、秋田(集成加工)や郡山(プレカット)等で加工せざるを得なかったこと、②準耐火のため天井に十分な木材が使用できなかったこと、③単年度補助金への対応でタイトな工期と煩雑な事務を強いられること、等が問題提起された(別添6)。フローリングにスギ材を使用しているが、圧縮技術を用いたWPC加工により、傷がつきにくく良い風合に仕上がっているとのこと。
  • 埼玉県ときがわ町の関口町長から、特定多数の人が利用する建築物(学校等)では不燃化の規制は緩くなっているが、役場等の不特定多数の人が利用する建築物は規制が厳しいとのコメントがあり、それほど厳しい規制は必要ないのではないかとの問題提起があったほか、スギ花粉はもはや「公害」であり、スギをどんどん伐って植え替える必要があり、そのためにも材を使っていくべきとのコメントあり。
  • 岩手県住田町の多田町長から、全国10~20の木のまちが災害応急対策として木造仮設住宅の備蓄を行うこと、これを国で制度的に支援するよう要望していくことを提案(別添12)。今後、サミット参加市町村の間で実現に向け前向きに連携していくことを確認。また、多田町長から、冬はマイナス13℃にもなる住田町でも、RCの旧庁舎から木造の新庁舎に変わってから、土日の休日出勤時に暖房を稼動させなくても余熱で十分暖かいこと、音も気にならなくなったこと、「木造が高い」はウソであることなどのコメントがあった。

4.総括

ファシリテータを努めた廣野氏が議論を以下のとおり総括。

  • 森林や木材資源の活用について、全国民がもっと深く認識し、考え、動くことが必要。政治もそれを促すように取り組むべき。
  • 木材の利用に伴う障害を取り除く努力が必要。規制の緩和や財源確保など国の役割も重要。
  • 民間企業は、単なる「CSR」ではなく、企業自体の社会的役割・存在意義を認識して経営する必要。
  • 上・中・下流間の連携(=循環)が重要。これら関係者間でコストと便益の適切な分担を実現する必要。
  • 市町村長は、こうした政策の実現に向けて、住民の信頼を得ていくことが重要。今回のサミットに参加した市町村長は、各地域に戻ったら、地域住民を集めてサミットの成果を伝達し、住民みんなが考え行動する場を設けるよう努力すべき。

5.次回の開催地

高知県中土佐町が、次回の開催地として立候補。

 

(添付資料)

別添1  第2回全国木のまちサミット 参加者名簿

別添2  第2回全国木のまちサミット プログラム

別添3  基調発表(廣野良吉氏) 資料

別添4  海外からの報告 資料

別添5  課題別セッション Ⅰ-①-1(林野庁藤田課長補佐) 資料

別添6      〃    Ⅰ-①-2(佐野建築研究所) 資料

別添7      〃    Ⅰ-②-1(神奈川県小田原市加藤市長) 資料

別添8      〃    Ⅰ-②-2((株)イトーキ平井社長) 資料

別添9      〃    Ⅰ-③  (北海道津別町佐藤町長) 資料

別添10     〃    Ⅱ-①-1(埼玉県ときがわ町関口町長) 資料

別添11     〃    Ⅱ-①-2((公財)オイスカ田中氏) 資料

別添12     〃    Ⅱ-②  (岩手県住田町多田町長) 資料

別添13 早川町 新庁舎のご案内 パンフレット

 

 

(記事・ブログ等)

 

Web東海新報 -「木造仮設住宅の備蓄を-東日本大震災の経験ふまえ提案/住田町」

https://tohkaishimpo.com/2016/09/06/128393/

UTYテレビ山梨 -「全国木のまちサミット 木材利用の課題は」

https://www.uty.co.jp/news/20160903/1512/

小田原市「市長の日記」-「木のまちサミットin早川町」

https://www.city.odawara.kanagawa.jp/index.php?p=&d=mayor/diary&c=&type=article&art_id=5089

山梨日日新聞 -「早川で木のまちサミット開幕」

林政ニュース -「早川町で第2回『全国木のまちサミット』」

山梨県森林協会 -「第2回『全国木のまち』サミット2016」

https://y-shinrin.jp/dantai/20160903-04-kinomati-summit-hayakawa.html

 

(サミットの様子)

早川町新庁舎
役場入口ロビー
役場入口ロビー
サミット会場(2階大会議室)
開会挨拶(早川町辻町長)
開会挨拶(早川町辻町長)
討議の様子
討議の様子
辻町長(右)から次回開催地である高知県中土佐町の池田町長(左)に引き継ぎ
辻町長(右)から次回開催地である高知県中土佐町の池田町長(左)に引き継ぎ