木の学校づくりネットワーク 創刊号(平成20年10月25日)の概要

  • 巻頭コラム:長澤悟:近年、構造あるいは内装や架構に木を用いた学校建設が進んでいます。児童・生徒が健やかに成長する場をつくる素材として木は優れた特長をもっています。また、木の建築に対する人々の喜びの大きさ、地域の木造文化・技能の継承、地域経済の活性化、地域環境の保全、二酸化炭素の吸収・固定による温暖化対策効果など、学校建築における木の活用には多面的な意義と可能性があります。一方、生産する「山」では木は安いと言い、建設する「町」では木は高くて使えないという声が聞かれます。また、木の活用促進を図る上で、法規や規準や制度が総合調整されていないという指摘もあります。いわば「山」と「町」を結び、専門分野、業種、省庁などの枠を超えて、木を使いやすい社会システムの構築が求められます。東洋大学大学院工学研究科では、平成19年度より文部科学省のオープン・リサーチ・センターとして「木と建築で創造する共生社会研究センター(WASS : Wood & Architecture for Symbiosis Society Creation Research Center)」を立ち上げ、「学校建築を主軸とした『木・共生学』の社会システムの構築と実践」をテーマに、構造面、計画・設計面、そして社会的ネットワークという3つの切り口から研究を展開しているところです。

    その一つである木の学校づくりネットワークグループでは、これまでに計画・設計・構造・構法・マネジメント・室内環境・まちおこし・地球環境・教育等にわたる幅広い専門領域の研究者をはじめ、行政・林業・森林組合・製材業・建設・家具等、関係分野の実務者を交えた情報収集を重ねてきました。それぞれの分野で木に関する問題を深くとらえ、創造的な実践を重ねておられる方々を結ぶ場を用意することで、共通理解を図り連携を深めることが、目的を達成する上で重要であると実感しています。

    本日(平成20年10月25日)のシンポジウムを機に、WASSの趣旨に賛同して頂ける方々とのネットワークを広げ、実体化していきたいと考えています。そのために、今後も先進的な地域や学校の調査を進めるとともに、外部の研究協力者も交えた研究会、および多様な分野の講師を招いた講演会を定期的に開催していく予定です。それぞれの研究や仕事を通して共に歩む者同士を結ぶ絆として、「木の学校づくりネットワーク」通信を発行することにした次第です。

  • 調査研究報告:「製材業の今」「公共建築の最初のハードルはJAS規格」「杉が梁に使いにくいわけ・・ヤング係数」「木造はRCより高いか?」他

※パスワードは「wood」

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