A-WASS第2回総会を開催しました.
平成27年3月7日(土)に、木と建築で創造する共生社会実践研究会(A-WASS)の第2回総会(通常総会)を開催しました。
■長澤会長のあいさつ
A-WASS(木と建築で創造する共生社会実践研究会)は2014年3月に発足しました。
A-WASSの前身である東洋大学のWASS(木と建築で創造する共生社会研究センター)は、文部科学省の研究資金を得て2007年度から12年3月まで、5年間活動しました。木と建築というテーマに、学校を重ね合わせ、共生というキーワードで、木や建築の問題、それに関わる社会のあり方について研究を進めました。
WASSの発足から今日までのわずか8年の間に非常に大きな変化があったと感じています。2010年には公共建築物等木材利用促進法(木促法)が制定され、また森林・林業再生プランも作成されて、国産材の利用等が進められてきました。学校建築においては木造が20%程度になり、内装木質化を含めると75%以上の学校が木質化されています。今年は木造校舎の構造設計標準(JIS規格 A 3301)が改訂されますし、木造3階建て校舎も、火災安全性に関して実大火災実験を3回も行った研究の結果、間もなく実現可能となる運びになっています。建築を離れたところでも、木質バイオマス等の新しい動きが各地で進んでいます。今、大きな節目がきていると感じています。
WASSの活動の幅を広げていく中で、木造建築の成果や課題の整理に止まらず、川上(伐採等を行う山)、川中(製材、乾燥等の業者)、川下(設置者、設計者、利用者等)をつなぐ、また地方と都市を結ぶということが今の日本社会の大きな課題であるということが明らかになってきました。WASS終了後、築き上げた研究と専門分野を超えた人々のネットワークを生かしてできる活動を行い、示していきたいという思いを込めて、昨年「WASS」にActionの「A」をつけた「A-WASS」として活動を始めたわけです。
A-WASSでの1年間の活動を振り返ると、先ほど申し上げた「木と建築」、あるいは「川上と川中と川下」、「地方と都市」を結びつける中で、さらに新しい世界が見えてきました。森林と木質エネルギーと建築を結ぶことにより、「持続可能な地域」、「持続可能なエネルギー」、あるいは「地域と国土と地球」と言ってもよいかもしれませんが、大きな枠組みで活動の幅を広げてきました。地球までいうと大層に聞こえますが、循環資源である木は一つの鍵を握っていると思われます。A-WASSの基本的な態度、大事にしてきた進め方として、人の顔が見えるかたち、志を共有できるプロセスによって物語ができ、その物語が広く伝わっていくという形の取り組みをしていきたいと考えています。
木と建築にエネルギーを加えた3つのテーマをつないで考える中で、木質バイオマスは単にエネルギー問題に止まらず、森林(木)のためであり、建築のためであるということを考えながら進めること、また、木の建築は木材価値を高め、それが森林のためになるというように、それぞれの目の前にある木に関するテーマを、常に森林の保全や持続可能な地域づくりにつなげて考えていくことが大切だと思っています。「つなぐ」ということでは、「ネットワーク」や「仮想流域」、さらに「サプライチェーン」などのキーワードで具体化していくことが、これから取り組んでいかなくてはいけないこと、あるいは進めていきたいと思うテーマです。
様々な社会の動きが出てきた今、本質を見誤らないようにすることが大事であり、目指しているところを確認し、伝えていく必要があると思います。A-WASSの会員は、そのつもりで心を新たにして活動を進展させていくということで、挨拶とさせていただきます。 (長澤悟)
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A-WASSニュース WEB版 No.001 (印刷用)